はじめに:留守番が多いことを、気にしている飼い主さんへ
仕事や家庭の事情で、
どうしても家を空ける時間が長くなる。
「本当はずっと一緒にいたいけど、そうもいかない」
「留守番が多いのは、かわいそうなのかな」
「シニアになってから、特に心配で…」
そんなふうに感じている飼い主さんは、とても多いと思います。
まず最初にお伝えしたいのは、
留守番が多い=愛情が足りない、ではない ということ。
大切なのは、
「留守番があるかどうか」ではなく、
その時間を、犬がどれだけ安心して過ごせているか です。
この記事では、
留守番が避けられない家庭でもできる
シニア犬のための「安心づくり」についてお話しします。

留守番そのものが悪いわけではない
犬は、本来とても順応性の高い動物です。
毎日の生活リズムが安定していれば、
留守番のある暮らしにも少しずつ慣れていきます。
問題になるのは、留守番そのものではなく、
- 生活リズムがバラバラ
- 帰宅時間が毎日大きく違う
- 落ち着ける場所がない
- 不安な刺激が多い
こうした 「不安を感じやすい留守番」 です。
逆に言えば、
留守番があっても「安心できる環境」が整っていれば、
犬は思っている以上に穏やかに過ごすことができます。
シニア犬が留守番で不安を感じやすくなる理由
シニア期に入ると、
若い頃よりも留守番中の不安が大きくなることがあります。
理由はとても自然なものです。
- 体力や回復力が落ちてくる
- 視力や聴力の変化で不安を感じやすい
- 環境の変化に順応しにくくなる
- 寝ている時間が増え、物音に敏感になる
これは「弱くなった」わけではなく、
年齢に伴う変化。
だからこそ、
留守番中の「安心感」がより重要になります。
留守番中の安心づくり①:居場所を整える
まず大切なのは、
「ここにいれば大丈夫」と思える居場所 を作ること。
- 静かで落ち着ける場所
- 冷暖房の風が直接当たらない
- いつも使っているベッドや毛布
特に、飼い主さんや家族の匂いがついた物は、
大きな安心材料になります。
家の中を自由にさせるよりも、
落ち着ける定位置がある方が安心する犬も多い です。
留守番中の安心づくり②:音・光・温度の配慮
留守番中の環境は、
人がいない分、犬にとって刺激が強く感じられることがあります。
たとえば、
- 外の工事音や車の音
- テレビを消したあとの不自然な静けさ
- 夏や冬の日中と夜間の温度差
こうした要素は、
シニア犬にとって不安の原因になることもあります。
対策(我が家でも実践していておすすめです)
● ラジオやテレビを小さな音でつけておく
室内に一定の音があることで、外の騒音への過敏な反応が減ります。
● 昼夜の明るさが極端に変わらないようにする
帰宅が暗くなる日は、昼間のうちから室内の照明をつけたまま外出します。
急な暗転を防ぐことで、安心感につながります。
● 室温を安定させる
日中と夜間で室温差が出ないよう、エアコンを活用し、できるだけ一定の温度を保ちます。
こうした小さな配慮だけでも、
シニア犬の不安はかなり和らぐ と感じています。
留守番中の安心づくり③:ごはん・水・トイレ
シニア犬の場合、
「ちゃんと飲めているか」「トイレは大丈夫か」
ここも不安になりやすいポイントです。
- 水は複数箇所に置く
- 倒れにくい器を使う
- トイレは我慢しなくていい位置に
留守番中に無理をさせない工夫は、
結果的に体調管理にもつながります。
出かける前・帰宅後の関わり方も大切
留守番の安心づくりは、
留守中だけでなく 前後の関わり方 も重要です。
● 出かける前
- 過度に声をかけすぎない
- 淡々と、いつも通りに
「行ってくるね」と静かに伝えるだけで十分です。
● 帰宅後
- まずは落ち着いて声をかける
- いきなり構いすぎない
- 犬の様子をよく見る
この「落ち着いた再会」が、
次の留守番への安心感につながります。
■ 我が家の場合:留守番が避けられない暮らしの中で
私自身も、普段は会社員としてフルタイムで働いています。
高齢の父と同居していることもあり、コロナ禍以降は午後から在宅勤務という働き方になりました。
それでも、犬たちにとっては
「人が常にそばにいる暮らし」ではありません。
日中は仕事に集中しなければならず、
構ってあげられない時間もありますし、
時に終日出勤が必要な日には留守番をお願いすることもあります。
だからこそ私は、
一緒にいられない時間をなくすことよりも、
その時間を“安心して過ごせるものにする”ことを大切にしてきました。
生活リズムをできるだけ変えないこと。
仕事の合間や帰宅後には、短くても目を見て声をかけること。
その日の様子を見て、無理をさせないこと。
完璧ではありませんが、
「留守番がある暮らしの中でも、安心は作れる」
そう実感しています。
まとめ:留守番があっても、安心は作れる
留守番のある暮らしを、
完全になくすことは難しいかもしれません。
でも、
- 環境を整える
- 刺激を減らす
- 生活リズムを守る
- 関わり方を見直す
こうした小さな工夫の積み重ねで、
シニア犬は「安心して待つ」ことができます。
留守番が多い家庭でも、
愛犬が「ここは安心できる場所」と感じられる暮らしは、
きっと作れます。

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