シニア期に入った犬は、若い頃よりも 脱水になりやすい体 になっています。
夏の暑い季節だけでなく、冬の乾燥や暖房でも簡単に脱水が起きてしまいます。
「今日はあまり水を飲まないな」
「でも元気そうだから平気かな…?」
そんな風に深刻に考えずに過ぎてしまうことも多いですが、
シニア犬の場合、脱水は 気づいたときには進行している というケースが珍しくありません。
我が家でも8〜13歳の4頭と暮らすなかで、
“水を飲む量の変化”“ハァハァの増加”“目の潤いの変化”など、
日々の小さなサインに気づくことが増えてきました。
ここでは、シニア犬にとって脱水が危険な理由や、
見落としやすい初期サイン、そして家庭でできる水分ケアをまとめます。

■ シニア犬はなぜ脱水しやすいのか?
シニア期の体は、若い頃とは違い水分管理能力が弱くなっています。
喉の渇きを感じにくくなる
加齢により“喉が渇いた”と感じる機能が低下し、自ら水を飲む回数が減ります。
腎臓の働きが弱くなる
水分調整を担う腎臓の負担が増え、軽度の脱水でも影響が大きくなりがち。
ドライフード中心だと水分不足になりがち
ドライフードはほぼ水分ゼロ。意識的に工夫しないと水分量が足りません。
行動量が減り飲む機会が減る
寝る時間が増え、水皿まで歩く回数が減少。
冬でも脱水になる(暖房・乾燥)
室内の乾燥は見落としがちですが、シニア犬では大きなリスクです。
■ 脱水がなぜ危険なのか?(重要)
脱水は単に「水が足りない状態」ではなく、
全身の臓器に負担をかける危険な状態 です。
シニア犬では体の回復力が低いため、脱水の影響が重く出やすいのが特徴です。
血液が濃くなり、心臓・腎臓への負担が増える
水分不足で血液がドロドロになり、
心臓・腎臓・肝臓の負担が急増します。
体温調節ができず、熱中症リスクが上がる
犬は汗をかけないため、体温調節は水分に依存。
脱水すると熱を体外に逃がせず、夏も冬もリスクが高まります。
尿が減り、老廃物が排出できなくなる
尿量が減ると体の不要物が溜まり、腎臓や膀胱に負担を与えます。
シニア犬では悪化が早いことも。
粘膜が乾燥し、感染症に弱くなる
口内や鼻の中が乾燥し、細菌・ウイルスに弱くなります。
脳への血流が減り、ふらつき・ぐったり
重度になるとふらつきや意識がもうろうとすることもあります。
脱水は半日〜1日で急激に悪化することもあるため、
早期の発見と日常のケアが何より大切 です。
■ 見落としやすい脱水の初期サイン
初期の脱水は、次のような小さな変化で気づくことができます。
いつもよりハァハァする
安静時でも呼吸が浅く早い。
皮膚の張りが弱い(つまみテスト)
背中の皮膚をつまんで離し、戻りが遅い場合は脱水のサイン。
目が少しくぼむ(涙が少ない)
目の潤いが減り、疲れたように見えます。
口内が乾く
よだれが少なく、口が乾いて見える。
尿の色が濃い・量が少ない
濃い黄色の尿は水分不足の合図。
元気がない・ぼんやりする
軽度の脱水でも動きに影響が出ます。
■ 家庭でできる脱水予防(今日からできる方法)
日々の小さな工夫で脱水は予防できます。
食事で水分を増やす
- ウェットフードを混ぜる
- スープ状のおじやにする
- 煮汁やだし汁を少量かける
- 野菜の茹で汁ごと与える
水の温度を工夫する
冷たい水が苦手なシニアも多いです。
春~秋:常温
冬:ぬるま湯(人肌程度)
まろはぬるま湯派。冬は特に効果的です。
水皿の場所を増やす
体力が落ちたシニアには「歩く距離」が負担になります。
- 寝床近く
- リビング
- キッチン
など複数箇所に置くと、飲む機会が増えます。
香りづけで水分アップ
水だけでは飲まない子には香りが効果的。
- 薄めたヤギミルク
- 薄いササミスープ
- すりおろしりんごの香りづけ
ごろうはヤギミルク水だとよく飲みます。
水分スイーツで補助
- ヨーグルト水
- さつまいもペースト
- 高齢犬用ゼリー
ただし与えすぎは下痢の原因に。
器の高さや形を工夫
関節や首が痛むと、水を飲む姿勢自体が辛くなります。
- 高さのあるボウル
- 斜めボウル
- ステップ台
姿勢を整えることで飲む量が増えることがあります。
■ 我が家の水分ケア(最新実例)
我が家の4頭も、それぞれ水分の取り方にしっかり個性があります。
まめとまりちゃんは“スープご飯派”。
煮汁やだし汁をご飯に少し加えると食いつきが良く、自然に水分を摂ってくれます。
ごろうは“ミルク派”。
犬用ミルクや薄めたヤギミルクが好きで、香りがあるとよく飲みます。
そして一番悩ませてくれるのが まろ。
スープも出汁もミルク類もすぐ飽きてしまい、続かないタイプです。
いろいろ試した結果、最終的にたどり着いたのは ぬるま湯。
味や香りがあるものが苦手なようで、シンプルなぬるま湯が一番よく飲んでくれます。
それぞれの性格や体質に合わせて、
「この子にはこれが合う」というスタイルを見つけることが水分ケアのポイント だと日々感じています。
■ 脱水が疑わしいときの受診ライン
次のサインがある場合は早めの受診をおすすめします。
- 皮膚の戻りが明らかに遅い
- 尿の量が極端に少ない
- 目のくぼみが強い
- 立てない・ぐったり
- 下痢や嘔吐が続く
- 水をまったく飲まない
シニア犬は脱水の進行が早いため、迷ったら受診が安心です。
■ まとめ:脱水予防は“環境づくり”が鍵
脱水はシニア犬の体に大きな負担を与えますが、
日常に少し手を加えるだけでしっかり予防できます。
- 水分を多く含む食事
- 温度・高さ・場所の工夫
- 香りづけの活用
- それぞれの好みに合わせたケア
“水を飲ませる” のではなく、
“自然に飲んでくれる環境をつくる” ことが最も効果的。
シニア期を穏やかに、そして快適に過ごすために
今日からできる水分ケアをぜひ取り入れてみてください。


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