散歩が嫌い・歩きたがらないシニア犬とどう向き合う?—歩けない理由と、無理せずできるケアの方法

ペット介護

シニア犬と暮らしていると、「散歩に行きたがらない」「外に出ても立ち止まる」という悩みを耳にすることが増えてきます。若い頃は元気に歩いていた子が、シニアになって急に散歩を嫌がるようになることも珍しくありません。

我が家の犬たちはみんな散歩が大好きで、特に13歳組のまろとごろうは、散歩の準備を始めるだけで大興奮。外に出たらクン活に夢中で、歩くほどに表情が明るくなるタイプです。
そんな子たちと暮らしているからこそ、「散歩が嫌いな子」「歩きたがらない子」の気持ちや悩みが、より深く理解できる気がします。

本当に散歩が苦手な性格の子もいますし、歩かないには明確な理由があることも多い。
この記事では、シニア犬が散歩を嫌がる理由と、無理なくできる向き合い方を、感情・身体・生活環境の3つの視点からまとめていきます。


シニア犬が散歩を嫌がる理由は“わがまま”ではない

散歩を嫌がる=性格の問題
と考えられがちですが、シニア期は 歩けない理由 が隠れている可能性があります。


痛み・関節の不調

最も多いのが、関節炎や腰の痛み。
歩き始めると痛みが出るため、散歩を拒否することがあります。

【サイン】

  • 歩き始めにふらつく
  • 後ろ足が震える
  • 階段や段差を嫌がる
  • 散歩後にぐったりする

心臓や呼吸器のトラブル

年齢とともに心臓や肺の機能が弱くなり、歩くと息が上がりやすくなることも。

【サイン】

  • すぐにハァハァする
  • 呼吸が浅い
  • 散歩中に立ち止まる
  • 咳が増えた

我が家のまろとごろうも、散歩の最初は大興奮で勢いよく歩き出しますが、数分すると徐々に息が上がって「ハァハァ」と呼吸が早くなることがあります。
そんなサインが出始めたら、私は無理をさせずにスピードを落とし、ふたりのペースに合わせてゆっくり歩くようにしています。

そのため、お散歩にかかる時間は日によってバラバラ。
でも、それで良いのだと思っています。

散歩は「人が歩かせる時間」ではなく、
“ワンコが気持ちよく過ごす時間”
これこそ、お散歩大好きな気持ちを保つ秘訣なのかもしれませんね。


視力・聴力低下で外が怖い

シニアになると世界の見え方が変わり、外の刺激が強く感じます。
いつもの道でも「なんだか怖い…」と感じることがあります。


匂いが弱くなって散歩の楽しさを感じにくい

犬にとって散歩=匂いの世界。
嗅覚が弱ると刺激が減り、散歩への意欲が下がりやすくなります。


認知症の初期症状

外に出ると混乱したり、不安が強くなる場合があります。
「外に行きたがらない」「帰り道がわからない」などがサイン。


気温や天気が合わない

シニア犬は体温調整が苦手。
暑い・寒いだけで「今日はやめておきたい」と感じます。


単純に“気分じゃない”(性格)

これが意外とある。
臆病・慎重・甘えん坊タイプの子は、外より家の安心感を選びやすいんです。


若い頃に散歩していなかった子は、シニア期に歩けなくなることがある

これは決して責める意味ではなく、事実として記事に入れておきたい重要ポイントです。

若い頃にあまり散歩に行かなかった子は、

  • 筋肉が育っていない
  • 関節が弱い
  • 心肺機能が弱い
  • 外の刺激に慣れていない
  • 匂いの楽しさを経験していない

という状態でシニアになるため、
「歩けない」状態になりやすい 傾向があります。

散歩嫌いではなく「散歩に必要な基礎体力が育たなかった」というケースも多いのです。

ですが、今からでも遅くありません。
後ほど紹介する“リカバリー方法”で、シニアからでも負担なく運動を取り入れることができます。


散歩嫌いのシニア犬への向き合い方

ポイントは「歩かせる」のではなく
“その子に合った散歩の形を探す” という考え方です。


まずは原因を見極める

  • 痛み
  • 怖さ
  • 気温
  • 気分
  • 内臓の問題

理由によって対応が大きく変わるため、観察がとても重要。


無理に歩かせない

シニア期にムリは禁物。
特に痛みや心臓の問題がある場合は、散歩よりも休息が優先です。


散歩=歩く、ではなくていい

これは多くの飼い主さんを救う考え方です。

  • 外に出て空気を吸う
  • 匂いを嗅ぐ
  • 少しだけ歩く

全部“散歩”。
カートで外気浴だけでも十分な刺激になります。


コースを短くする

10分歩けないなら、3分でもOK。
その子のペースに合わせましょう。


クン活中心にする

歩く距離より“満足感”のほうが重要。
クン活は脳の刺激になり、満足度が高い散歩になります。


スリングやカートの併用

歩ける分だけ歩き、疲れたら乗る方式が理想的。

我が家でも、フレンチブルドッグのまめと保護犬のまりちゃんが散歩パートナーです。
体の大きさも体力も違う2頭は、歩ける距離もまったく違います。特に夏のような気温が高い時期は、まりちゃんのペースに合わせると、まめが先にバテてしまうことも。

そんな時はカートを持参して散歩に出かけるようにしています。
行きはそれぞれ自力で歩き、帰りはまめだけカートに乗ってゆっくり帰宅。
その日の体力や気温に合わせて、お散歩のスタイルを柔軟に変えています。

“歩ける分だけ歩いて、無理なく楽しむ”
これがシニア犬にも若い子にも優しい散歩の形なのだと思います。


その子が“安心できる時間帯”で散歩する

シニア犬は環境の変化に敏感。
人が少なく静かな時間帯だと歩く子も多い。


若い頃に散歩が少なかった子の“リカバリー方法”

今からでも遅くない方法を紹介します。


● 室内ノーズワーク

おやつを隠して探してもらう遊び。
嗅覚刺激は散歩の代わりにもなります。


● 軽いストレッチ

  • 前脚伸ばし
  • 後ろ脚の付け根をほぐす
  • 首〜肩のゆるマッサージ

これだけでも血流が良くなります。


● 部屋の中を一緒にゆっくり歩く

少しだけ部屋をウロウロするだけでも、
“歩く神経と筋肉”の刺激になります。


● 家の前だけで外気浴

完全散歩が苦手でも、
外の匂い・音・風は脳への良い刺激です。


我が家の散歩好きチームから学ぶ“散歩の本質”

散歩大好きなまろ・ごろう・まりちゃん&まめは、
歩くことそのものよりも
「外の空気・匂い・景色が楽しい」
というタイプです。

この“散歩の本質”は、散歩が嫌いな子にも当てはまります。

歩けなくても、楽しめる散歩はある。
それに気づいてあげられるかどうかが、
シニア犬との穏やかな時間づくりの鍵になります。


まとめ:散歩嫌いは個性。歩けないには理由がある

シニア犬が散歩を嫌がるのは決して“わがまま”ではありません。

  • 身体の不調
  • 心の不安
  • 外の刺激の強さ
  • 若い頃の経験不足

など、理由はさまざま。

大切なのは、
歩かせることより、その子の気持ちと体に寄り添うこと。

歩く距離よりも、
満足して帰ってこれる時間のほうが何倍も大切です。

その子らしい散歩を、一緒にゆっくり見つけてあげてくださいね。

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