
まろが旅立ってから、ごろうはひとりぼっちになりました。
まろは最後、大学病院に緊急入院し、その翌日の朝に静かに息を引き取りました。あまりにも急なお別れで、ごろうはきちんと「お別れ」をすることができませんでした。再会した時には、すでにまろは旅立った後でした。
きっと、ごろうには何が起きたのかは分かっていないと思います。でも、「まろがいない」という事実だけは、しっかり感じ取っているように見えました。
最初の一日、二日は、どこか様子がおかしいくらい静かでした。落ち着いているというよりは、何かを探しているような、そんな空気でした。
そして数日が経った頃から、少しずつ変化が出てきました。
夜になると、そわそわと落ち着かなくなり、クンクンと鼻を鳴らすようになりました。部屋の中を歩き回ったり、ふと立ち止まって何かを感じ取ろうとしているような仕草を見せたり…。その姿はとても不安そうで、見ているこちらの胸も締めつけられるようでした。
ごろうとまろは、もともと兄弟です。父の職場に迷い込んできた元野犬で、出会った時にはすでに成犬でした。
それまでどんな生活をしていたのか、詳しいことは分かりません。でも、決して楽な環境ではなかったはずです。そんな中でも、2頭はずっと一緒に生きてきました。お互いに寄り添いながら、支え合ってきた兄弟です。
私が父と一緒にこの子たちを引き取ったのは、今から6年前のことです。それからというもの、ふたりはいつも一緒でした。
少しでも離そうとすると、大騒ぎになるほどでした。どちらか一方だけを連れて出かけようとすると、不安そうに鳴き続けてしまう。そんな姿を何度も見てきました。
それくらい、強い絆でつながっていたふたりです。
だからこそ、今のごろうの姿を見ると、胸が痛くなります。
ずっと一緒にいた存在が、ある日突然いなくなる。その喪失感は、きっと私たちが想像する以上に大きいものなのだと思います。
ごろうは和犬気質で、もともと他の犬とすぐに打ち解けられるタイプではありません。我が家にはまめやまりもいますが、ごろうは一緒に過ごすことが難しく、基本的には別々の空間で生活しています。
だからこそ、今のごろうは本当に「ひとり」です。
その姿を見ていると、寂しさや切なさが込み上げてきます。同時に、「この子をこれからどう支えていけばいいのか」と、考えずにはいられません。
ごろうのこの先の生活が、少しでも穏やかなものになるように。ストレスを減らして、安心して過ごせる時間を増やしてあげたい。
正直に言うと、簡単なことではないと思っています。長年一緒に過ごしてきた存在の代わりは、どこにもいません。
それでも、できることはあります。
声をかけること、そばにいること、安心できる時間をつくること。ほんの小さなことの積み重ねかもしれませんが、それでもきっと意味があると信じています。
これからは、これまで以上にごろうに目を向けて、できるだけ愛情を注いでいきたいと思います。
寂しさが少しでもやわらぐように。ごろうが「ここにいていいんだ」と感じられるように。
まろがいなくなってしまった今、その分までしっかり向き合っていこうと思っています。
ごろう、これからも一緒に頑張ろうね。
大丈夫。ひとりじゃないよ。


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