保護犬を迎える前に考えてほしいこと|かわいいだけではない、その子の一生を預かるということ

保護犬との暮らし

最近、テレビやネットで、保護犬や保護猫の話題を目にする機会が増えたように感じます。

新しい家族が見つかって、幸せそうに暮らしている姿を見ると、本当によかったなと思います。

私自身、生体販売について思うところもありますし、保護された子たちに新しい家族が見つかることは、とてもうれしいことです。

でも同時に、犬を迎えようと考えている人に、一度だけ立ち止まって考えてほしいことがあります。

それは、

「この子の一生を、最後まで一緒に歩いていけるだろうか」

ということです。

保護犬だから、という話だけではありません。

ペットショップから迎える子も、ブリーダーさんから迎える子も、知人から譲り受ける子も同じです。

どこから迎えるかよりも、

迎えた後、その命とどう暮らしていくか。

私は、そこが一番大切だと思っています。

犬との暮らしは「かわいい」だけではない

犬との暮らしは、本当に楽しいです。

私自身、この子たちがいない生活は今では考えられません。

でも、当然ながら楽しいことだけではありません。

犬は毎日ご飯を食べます。

散歩も必要です。

吠えることもあります。

排泄を失敗することだってあります。

病気になれば病院へ連れて行き、治療費もかかります。

年を取れば介護が必要になることもあります。

仕事が忙しくても、飼い主の体調が悪くても、

「今日はお世話を休みます」

とはできません。

旅行や外出にも、ある程度制約が出てきます。

そしていつかは、見送る日もやってきます。

迎えた時には小さくてかわいかった子も、10年、15年と年を取っていきます。

だからこそ私は、

「今かわいいから」だけではなく、年を取ったこの子との暮らしまで少し想像してみてほしい

と思っています。

「かわいそうだから」だけでも決めてほしくない

保護犬を見ると、

「かわいそう」

「助けてあげたい」

と思うことがあります。

その気持ちは、とても優しいものだと思います。

でも私は、その気持ちだけで迎えることを決めてほしくはありません。

保護犬の中には、事情があって居場所を失った子や、人との暮らしにまだ慣れていない子もいます。

知らない人が怖い。

車が怖い。

大きな音が怖い。

環境が変わると落ち着かない。

そんな子もいます。

新しい家へ来たからといって、すぐに心を開いてくれるとは限りません。

思い描いていた犬との暮らしとは、全然違うことだってあります。

それを含めて、

「それでもこの子と暮らしていけるかな」

と考えてほしいんです。

まりも、すぐに今のまりになったわけではありません

我が家のまりも、元野犬です。

迎え入れたばかりの頃は、とても警戒心の強い子でした。

知らない人も怖い。

車も怖い。

環境の変化にも敏感でした。

今でも、苦手なことが全部なくなったわけではありません。

何年一緒に暮らしていても、

「これはまだ怖いんだな」

と思うことがあります。

でも、それでいいんだと思っています。

最初から私の思った通りの犬になる必要なんてないんですよね。

愛情をかけたからといって、こちらが思い描いた形で返してくれるとも限りません。

抱っこが大好きになるとは限らない。

誰にでも懐くようになるとは限らない。

いつも飼い主にべったりになるとも限らない。

でも、

少し近くで眠るようになった。

以前より落ち着いてこちらを見てくれるようになった。

散歩へ行く時に、うれしそうな顔をするようになった。

そんな小さな変化が見えてくることがあります。

私は、それもその子なりの答えなんじゃないかなと思っています。

まりのトラウマについては、以前の記事にも詳しく書いています。

【関連記事:6年経っても消えない恐怖|保護犬まりのトラウマ】

まりが迎え入れて間もない頃に逸走した時のことも、別の記事に残しています。

【関連記事:逃げた保護犬が、最後に私を選んでくれた日】

「こんなはずじゃなかった」もあると思う

どんな犬でも、暮らしてみなければ分からないことがあります。

思っていたより吠えるかもしれない。

散歩が苦手かもしれない。

留守番ができないかもしれない。

ほかの犬が苦手かもしれない。

病気を抱えることもあります。

特に、それまでどんな環境で暮らしてきたのか分からない保護犬の場合、

「どうしてこんな行動をするんだろう?」

と悩むこともあると思います。

でも、

思った通りにならないことの方が普通なのかもしれません。

犬にも性格があります。

怖いものも違います。

人に慣れるまでの時間も違います。

その子のペースを待つこと。

無理に変えようとしないこと。

私は、まりとの暮らしの中でそれをたくさん教えてもらいました。

迎える前に、現実的なことも考えてほしい

犬を迎える前に、私は「気持ち」だけではなく、現実的なことも一度考えてほしいと思っています。

毎日のご飯や散歩に使える時間はあるか。

フード代や医療費を継続して負担できるか。

家族は迎えることに賛成しているか。

吠え声や生活音が問題にならない住環境か。

仕事や生活が変わった時も、お世話を続けられるか。

そして、

自分が病気になったり、入院したりしてお世話できなくなった時、代わりに頼れる人や場所があるか。

すべてを完璧に準備する必要はないと思います。

未来のことなんて、全部は分かりません。

でも、

「何とかなるだろう」

だけではなく、少し先まで想像してから迎えること。

それも、その子への責任だと思っています。

もし今の自分の生活では、最後まで責任を持つ見通しが立たない。

そう感じるなら、

「今は迎えない」

という選択も、その子への愛情だと私は思っています。

保健所のサイトを見るたびに思うこと

私は時々、保健所のサイトを見ます。

そこには、

「飼い主の事情により当施設へ」

といった説明が書かれていることがあります。

それを見るたび、やっぱり悲しい気持ちになります。

もちろん、病気や災害、家庭の事情など、どうしても避けられないこともあると思います。

すべての飼い主さんを一括りにして責めたいわけではありません。

でも、迎える前に少しだけ未来まで考えていたら、防げる別れもあるのではないか。

そう思うことがあります。

そしてもし、自分がお世話できなくなる日が来たとしても、

「この子を次に誰につなぐのか」

まで考えておく。

それも、命を迎える準備の一つだと思っています。

【関連記事:飼い主が突然入院したら犬はどうする?家族に残したいお世話情報と備え】

【関連記事:もし私が犬たちのお世話をできなくなったら|家族以外の「頼り先」を探し始めました】

1頭でも多く、「人って優しい」と思ってほしい

私は、犬たちに

「人って優しいんだ」

と思ってもらいたいです。

事情があって居場所を失った子や、人との暮らしにまだ慣れていない子なら、なおさらです。

せっかく新しい家族と出会ったのなら、

今度こそ安心して暮らしてほしい。

思い通りにならなくても、焦らず待ってほしい。

その子の性格も、怖いものも、苦手なことも含めて受け止めてほしい。

そして、

「ここなら安心して眠っていいんだ」

と思ってもらえたらいいなと思います。

完璧な飼い主になる必要はありません。

私だって、失敗することもあります。

知らなかったこともたくさんあります。

でも、

「この子とできるだけ最後まで一緒に暮らす。そのために必要なことを考え続ける」

という気持ちは持っていたい。

犬を迎えることは、かわいい家族が増えること。

同時に、ひとつの命を預かることでもあります。

元気な時だけではなく。

病気になった時も。

年を取った時も。

手がかかるようになった時も。

そして、自分にもしものことがあった時のことまで。

迎える前に、ほんの少しだけ未来の暮らしを想像してもらえたらと思います。

そして家族になったその子には、いっぱい、いっぱい愛情をあげてほしい。

1頭でも多くの犬が、

「この家に来てよかった」

と思える一生を過ごせますように。

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